「ナイト列車 ドリーム号」~アーシャの力(1/8)

文・泉あおり  

「・・・はぁはぁ」
なんとか落ち着こうと、レン子はベンチで体を丸めていた。
息を吐き出し、ゆっくりと空気を吸いこむ。

この妖しい力は、いつもこうやって、予測不能にレン子を急き立ててくるのだ。
「・・・ひったくり?」
レン子はベンチから、そっと顔をあげた。
「今から、それが起きちゃうの?」

後ろを向くと、ちょうど一台のバスが、レン子のいるロータリーに入ってきた。
目を凝らすと、バスの窓ぎわには、映像で見た赤いコートの女性が乗っている。
「てことは・・・えっと、新聞の男はっ?」
ぐるりと、ロータリーを見回した。

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泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 ふと子供の本を書こうと思いつき、会社を飛びだしました。 今は時間を見つけては、童話と児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員