「ナイト列車 ドリーム号」~アーシャの力(1/8)

文・泉あおり  

「あ、いた!」
レン子のベンチの反対がわに、新聞を読みながら、辺りに視線を配る男を発見。
「いたいたいたっ、救世主っ!」
レン子は、いそいで男のもとに駆けよる。
肩をはずませて近づくレン子に、男は新聞紙から視線をあげた。
すこし、驚いた表情をしている。

「えっと、中学生・・・あの、なにか?」
「はぁはぁ。バスから降りてくる」
レン子が止まったバスに指をさす。
「あ、あの赤いコートの人、はぁ、あの人がターゲットですっ」

「ターゲットって?」
「えっと、ほらっ。パチンコ屋から出てきた野球帽! あの男が、犯人ですっ!」
いっきにまくし立てると、レン子は男にチョンと頭を下げ、足早にその場を去った。
「刑事さん、あとはよろしくですぅっ」
「えっ、ちょっと、キミっ!」

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泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 ふと子供の本を書こうと思いつき、会社を飛びだしました。 今は時間を見つけては、童話と児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員