「あ、いた!」
レン子のベンチの反対がわに、新聞を読みながら、辺りに視線を配る男を発見。
「いたいたいたっ、救世主っ!」
レン子は、いそいで男のもとに駆けよる。
肩をはずませて近づくレン子に、男は新聞紙から視線をあげた。
すこし、驚いた表情をしている。
「えっと、中学生・・・あの、なにか?」
「はぁはぁ。バスから降りてくる」
レン子が止まったバスに指をさす。
「あ、あの赤いコートの人、はぁ、あの人がターゲットですっ」
「ターゲットって?」
「えっと、ほらっ。パチンコ屋から出てきた野球帽! あの男が、犯人ですっ!」
いっきにまくし立てると、レン子は男にチョンと頭を下げ、足早にその場を去った。
「刑事さん、あとはよろしくですぅっ」
「えっ、ちょっと、キミっ!」