「ナイト列車 ドリーム号」~アーシャの力(4/8)

文・泉あおり  

「ふぅ、女か。それで、切符は?」
汽車から顔をだしたのは、帽子をかぶった少年だった。
レン子はドキッとした。
よく見ると、まだ小学生のように幼い顔をしている。
青い帽子からはみ出した、銀色の髪はなんともつややかだ。
さらに彼の瞳は、ガラス玉のように、キラキラとしている。

レン子は、ごくりとツバを飲みこんだ。
「あの、切符って、これのこと?」
「はぁ、持ってたんだぁ」
切符を見せると、男は帽子をとって、銀髪を手でクシャクシャとかきまぜた。

(・・・嫌われちゃってる?)
おそらく、年下だろう。
とはいえ、男子にイヤな顔をされると、女子としては心に傷だ。
レン子は、胸に黒いものを感じていた。

「ねえ、早く乗ってくれない?」
帽子の男が、急かすように言った。
どぎまぎしつつ、レン子は自分の顔に指をさす。
帽子の男は、面倒くさそうにうなずく。

(なんだぁ、乗って良かったのね?)
あわてて駆け寄り、車体に足をかけた。
「あ、ひぃ、よっとぉ・・・あっ」
ハシゴを上がると、男がレン子の手を、グイと引っ張ってくれた。

「よっと、あ、ありがとうっ」
あれこれとネガティブに考えたが、どうやら、レン子を受けいれてくれたようだ。
運転席に入ると、汽車が蒸気をあげた。
ガタゴトと、もう車体が動きはじめる。
「ドリーム号、発車オーライ!」

2 / 212

泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 ふと子供の本を書こうと思いつき、会社を飛びだしました。 今は時間を見つけては、童話と児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員