「ナイト列車 ドリーム号」~ゲームマスター(6/8)

文・泉あおり  

イスに座ったヒロキは、本物の神木結城を前にして緊張しっぱなしだった。
「・・・」
聞きたいことはたくさんあるのに、言葉が口から出てこないのだ。それは年上で高校生だからだけじゃない、彼が正真正銘のゲームマスターだからだ。

「サタン閣下が、倒せないんだって?」
「え、どうしてそれを・・・」
ヒロキを気遣ってか、神木から声をかけられドキっとした。
ちらと彼の青い眼を見た瞬間、ヒロキはすぐに視線を逸らせた。

神木は、口もとに笑みを浮かべる。
「世界中のプレイヤーを監視してるから。それにこのゲームの、制作陣でもあるからね」
「やっぱり! だから面白いんだ、デーモンクエストは」
「ハハハ、嬉しいね。最高のほめ言葉だ」
ヒロキの素直な意見に、神木が嬉しそうに笑っている。それが、死ぬほど嬉しかった。

ヒロキは、背後でムスッと立ったままの片桐に、ごめんのポーズをした。
「おい、電車が遅れてるんだぞっ」
片桐は、まいったとばかりに首を振った。
「まあまあ、僕の意識が引っ張ってここに来たんなら、それはきっと神木くんに会いたかったからだよ。だから、もうちょっと待ってよ。もしかしたら、魂の忘れ物も解決してドリーム号も復活するかも」
「調子の良いことを・・・」

ヒロキは片桐から神木に向き直った。そして、今一番聞きたい質問を、彼にぶつけた。
「サタン閣下、どうやったら倒せますか?」
「うんーー。まずはレベルを上げてコインを稼がなきゃ。もうわかってると思うけど、RPGは時間と忍耐が必要だよ」
「はぁ、やっぱりコツコツしかないのかぁ」
ちょっとがっかり。秘密の抜け道や裏技なんかを聞けるかもと、少し期待していたのだ。

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泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 ふと子供の本を書こうと思いつき、会社を飛びだしました。 今は時間を見つけては、童話と児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員