「ナイト列車 ドリーム号」~ゲームマスター(8/8)

文・泉あおり  

ガタゴト、ガタゴトっ!
さっきから運転レバーを握る片桐は、あくびと目をこする、をずっと繰り返している。
「ふわぁ~、ここはナイト次元、目的地はドリーム号だけが知ってるーーあ~、眠い」

いつ眠ってもおかしくない運転士に、安全運転を続けるドリーム号。
いったいこの汽車は、どこに連れていこうとしているのか。
「わかんないな~。僕に、魂の忘れ物なんて、あったっけなぁ?」
思わず心の声がもれたヒロキに、片桐は大あくびで答える。
「オレは知らない、ふわぁ~」

ガタゴト、キッキィィィッ!
「終点! 2017年、5月っ! 終点っ」
車内にアナウンスが響き渡った時、ドリーム号はブレーキ音を立て、静かに停車した。
「今、2017年て言わなかった?」
アナウンスが告げたのは一年前の日付。過去の日付にヒロキは運転席を振り向くが、片桐はすでに、イスで帽子を深くかぶって、スース―と寝息を立てている。
(起こしたら、まずいよね)

1 / 512345

泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 ふと子供の本を書こうと思いつき、会社を飛びだしました。 今は時間を見つけては、童話と児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員