「ナイト列車 ドリーム号」~愛犬ペロとの記憶(2/7)

文・泉あおり  

「大きな声か・・・」
少し前まで、草太にも大きな声をだす習慣があった。
一日に一度、家に帰るとしっぽをふって走ってくる、柴犬のペロを抱きしめるときだった。

「ただいま・・・」
けれど今では、そんな大声をだす習慣も必要がなくなった。
ドアを開けても、玄関で待っても、あいかわらず家は静かだった。
「はぁ・・・もう、ペロはいないんだ」

愛犬のペロが病気で死んだのは、3カ月前のことだった。
変な咳をしているなと思っていたら、ペロは病院に行くまもなく、あっというまにこの世を去ってしまったのだ。
「・・・ペロ」

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泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 ふと子供の本を書こうと思いつき、会社を飛びだしました。 今は時間を見つけては、童話と児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員