「ナイト列車 ドリーム号」~愛犬ペロとの記憶(4/7)

文・泉あおり  

(ここは、どこだろう?)
気がつくと、目の前はピンク色の霧におおわれていた。
草太はなにもない空間で、なぜかベンチに腰を下ろしていた。
そのとき、遠くからなにかが近づいてくるのがわかった。

ガタゴト、ガタゴト。
「え、電車! レールなんてないのに?」
けれどたしかに、それは列車がレールの上を走る音だった。
キョロキョロと辺りを見まわしていると、ピンクの霧の向こうから、明るいライトがこっちを照らしてやってきた。

「き、汽車だ・・・」
ポッポー、ガタンゴトン、プシュー。
なんと草太の前に現れたのは、一両編成の紺色をした蒸気機関車だった。
「始発、9月4日っ、始発・・・」
どこからかアナウンスが聞こえ、運転席の窓がとつぜん開いた。
そこから顔をのぞかせたのは、青い帽子をかぶった男の子だった。

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泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 ふと子供の本を書こうと思いつき、会社を飛びだしました。 今は時間を見つけては、童話と児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員