おはなしの「タネ」をたくわえる(2/5)

●「タネ」は、こうして
隣家とわが家は60年来のお付き合いです。隣家の庭に柿の木が1本ありましたが、一度も実をつけたことがありませんでした。
ところが、息子さんと同居するため駐車場を作ることになり、柿の木を切ることになりました。

とうとう切られるという最後の秋、その柿の木ははじめて実をつけました。
隣のおばさんが、お煎餅の空き缶に実をゴロゴロのせて持ってきて、私と母にいいました。
「柿に(切ることが)聞こえちゃったらしいんだよ」
きっと柿は長年の感謝をこめておばさんのために実をつけたのだろうと私は思いました。
実は小さくて無骨な形でしたが、とてもおいしかったです。

この出来事を私はメモに残しておきました。そして数年たって、ふとその柿のことを思い出し、はっとしました。
あの柿はひょっとしたら子孫を残したかったんじゃないかと。
でも私は種をゴミとして捨てていたのです。なんということ・・・。かなり落ち込みました。
それで私はこの柿の木のためにお話を書くことにしました。
そうしてうまれたが、『ざぼんじいさんのかきのき』です。

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