おれと天使(1/6)

文・泉あおり  

体から出るのはかんたんだった。
「ありゃりゃ、お客さん、いまシーンとしてはります? おっと、そんなときは、自分の体をじっと見つめて」
「ウケへんからって、おい!」
「だれかちがう人の体とおもったら、ひゅるりッ、スポンっ」
「コラ! 『ゆうたいりだつ』してんと、はよコントにもどってきい!」
ゲラゲラゲラ!
テレビでみた、そのお笑いコンビのネタが、ヨースケのヒントになった。

はじめは国語のテスト中、小学5年生のヨースケは、漢字の読みがまったくわからず、つくえで自分のうでをぼーっとながめていた。
「自分の体をじっと見つめる、だったっけ?」
ひゅるりッ、スポンっ!
するとなんと、ヨースケはあのネタのように、自分の体から飛び出してしまったのだ。
「あ、わわわ。や、やったぞ・・・おれのまえに、おれが!」

ひゅるりッ、スポンっ!
ひゅるりッ、スポンっ!
ひゅるりッ、スポンっ!
はじめはこわかったものの、なんどもトライしているうちに、ヨースケはゆうたいりだつになれていった。

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泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 ふと子供の本を書こうと思いつき、会社を飛びだしました。 今は時間を見つけては、童話と児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。