おれと天使(1/6)

文・泉あおり  

「どれどれ、問3の答えは?」
今では、クラスの天才をめぐって、カンニングを楽しんでいる。
「ねんしょう? ほう、燃やして熱する、これを燃焼って読むわけか、ふむふむ」
なかでもお気に入りは、クラスのアイドル、めぐみちゃんだ。
美人で、だれにでもやさしいめぐみちゃんは、いつもテストで満点をとる天才だった。
「今日もありがとう、これでおれも天才のなかま入りだ」

キーンコーンカーンコーン。
「やっべえ、そろそろもどらねえと」
めぐみちゃんの答案をながめていたヨースケは、チャイムをきいて自分の席へとダッシュした。
クラスのみんなにバレれば、
「先生っ、ヨースケくんがおきません!」
とかさわがれて、きっとほけん室にはこばれてしまうだろう。
「よっしゃ、ギリギリセーフ」
つくえでは、本体の自分が、ほおづえをついてねむっていた。
「わっ、また白目じゃん。われながら、いつ見てもこえーぞ」
いつものように、本体ははんぶん白目をむいて、ダラダラとよだれをたらしていた。
「まるでゾンビだ」
体を出入りするにはもうなれたが、ゾンビヨースケになれるには、まだしばらく時間がかかりそうだった。
「とにかく、これでおれはずっとテストで百点だ。えいっ」
しゅるるっ、ドボンッ!
ぶじに体にもどると、ヨースケはよだれをふいて、テストをだしに先生のところに走っていった。

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泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 ふと子供の本を書こうと思いつき、会社を飛びだしました。 今は時間を見つけては、童話と児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員