ぜんぜん不思議じゃなかった3日間(13/15)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

13 チョウコの涙

いつの間にか、朝になっていた。
ずっと一緒にいたいと捜したが、賢作さんの姿はなかった。
しのさんの姿も、見えなかった。
他の方々も、あたしには、見えない。
見えるのは、別に見たいとも思わない策作じいさんだけだ。

「おはようございます」
「キツツキ、今日は、海や。昨日、川で見つけたやつは、大きすぎて、お精霊舟に積めんさかい」
「あの・・・、今日は、『魂送り』の日です」
「そうやな」
「あの・・・、送る準備とか、心の準備とか、・・・いろいろな覚悟とか、しなくてもいいんですか?」

「アホか、キツツキは、あっ、あかん、ゆうてしもた」
「ぷふっ、大丈夫ですから、そんなに焦らなくても。もう、泣きませんから」
「そうか。ほんなら、ええけど」
「はい」
「あのな、キツツキ」
「はい」
「他の時はしらんけど、だれかを見送ったり、別れたりする時はな、」
「はい」
「心の準備とか、覚悟とかはな、するだけ無駄やで」
「はい?」
「準備なんぞしといても、覚悟なんぞしといても、いざという時、さみしいもんはさみしいし、悲しいもんは悲しいんやから」
「・・・・・・」

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朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。