ぜんぜん不思議じゃなかった3日間(7/15)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

「わいが七つの時から、中学にあがるまでおって、ふいっと姿を消したんや」
策作じいさんが鼻をすすった。
「待っても、待っても、チョウコは帰ってこんかった・・・」
「そのチョウコが、帰って来たんですね」
「猫も、猫の魂も、帰ってくるんやな・・・」
「・・・はい」
「・・・ほんでも、また、行ってしもた」
じいさんが、歩みを止めて、空を見上げる。
背中が、さみしそうだ。

「あの、でも・・・。今年は会えてよかったですね! 海辺で遊ぶ、チョウコと佐熊山策作さん、めっちゃ楽しそうでした!」
「ほうか、ほうか」
「それに、またいつか、会えるでしょ?」
いままで姿を見せなかったチョウコだから、来年、会えるとはかぎらない。
けど、でも、いつかあたしたちが行く場所で、チョウコは待っていてくれる。
「近いうちに、か?」
「いやいやいやいや、まだまだまだまだ、ものすごーく先だと思います!」
「ほうか、ほうか」
じいさんは、また、歩きはじめる。
よかった、さみしそうな背中、ちょっと、元気になってるよ。

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朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。