だからちがうんだってば(1/4)

文・山庭さくら   絵・井上真一

「シメシメ。おいしそうなタマゴだなあ。おやのいないあいだにいただくとするか」
あおだいしょうのニョロタは、したなめずりしました。
ほかのあおだいしょうは、こいウグイスいろをしているのに、ニョロタはまっ白ないろをして生まれてきました。
そのために、きょうだいや、なかまから、へんなやつといわれ、バカにされ、いじめられてそだってきたのです。
「もう、こんなところとは、おさらばして、おいらはひとりで生きていくさ」
そうひとりごとをいいながら、ニョロニョロはっているときに、ぐうぜん見つけたとりのタマゴでした。
「いち、にぃ、さん、しぃ、ご。おっ、5こもあるぞ。これだけたべりゃあ、おなかもいっぱいになるだろう」
ニョロタは、1こずつあじわいながらタマゴをたべました。
「やっぱりタマゴはさいこうだねえ」
4このタマゴをたべおわり、さあ、いよいよさいごの5こ目をたべようとした、そのときです。
パリン
タマゴがわれて、ピヨピヨいいながら、きいろのヒヨコが生まれてきました。
だからちがうんだってば①
「うわぁ、な、な、なんだあ」
ニョロタはびっくりして、大きくあけていた口をとじるのもわすれて、あとずさりしました。
「ピヨ。あっ、おかあさん、こんにちは」
ヒヨコは目のまえにいたのが、ニョロタだったので、すっかりニョロタをおかあさんだとおもってしまったのです。
「よ、よせやい! オレさまはおまえのおかあさんなんかじゃないやい。だいいちオレさまは男だ。おとうさんってことはあっても、おかあさんってことがあるかい。いや、まてまて、おとうさんってことだってあるはずないじゃないか」
きゅうにヒヨコが生まれただけでもびっくりだったのに、そのヒヨコからおかあさんなんていわれたものですから、ニョロタはすっかりあせってしまいました。
ヒヨコをパクリとたべてもよかったのに、ニョロタはそこからあわててにげ出しました。

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山庭さくら について

山庭さくら(やまにわ さくら) 愛媛県出身。大好きな童話作家は浜田広助。 図書館での読み聞かせ、児童養護施設でのボランティア、大学病院の小児科でのボランティアでの読み聞かせを行ってきて、童話や絵本の大切さを実感。 2006年に出版した『ウータンタンのおはなし』は、大分県の夏休み課題図書に選ばれる。 その後、依頼で『不思議なコウモリ』や『シッポでさよなら』などを創作。これまで作った作品は20以上。読み終えた後に、心がほっこりする童話を書きつづけている。 HP:幸せつなぎスト

井上真一 について

1995年東京生まれ。5歳の時、「モンテッソーリ・シュタイナー教育研究会」の絵画教室で絵を描く楽しさを知り、以来ゆっくりのペースで描き続けています。味わいあるタッチと美しい色彩が持ち味。童話の挿絵は今回が初めてで、ニョロタの優しさとピヨタの純粋さを表せるように考えながら描きました。 障がいのある子どもたちの絵画コンクール「キラキラっとアートコンクール」で第2回優秀賞。日本教育研究出版 特別支援教育のテキスト「ひとりだちするための国語」「ひとりだちするための算数・数学」表紙絵。2009年教室の仲間とグループ「talent」を結成、都内のカフェ、病院などで不定期に作品展を開催。