もらった子ネコ、返します(1/10)

文・中村文人  

「バイバーイ」
「またねー」
ほうかご。
みんなの声がひびく校庭をあとに、アスカちゃんは歩きだした。
アスカちゃんは、いつものように児童館にむかうのだった。

アスカちゃんは、2年生。パパとふたりぐらしだ。
ママは、アスカちゃんがようちえんの年長さんのときに、家を出ていってしまった。
どうしてだかわからない。ただ、夜おそくに、パパとママがケンカをする声がよくきこえた。

〈パパ、ママ、おねがい、ケンカはやめて!〉
アスカちゃんはふとんを頭からかぶってなきたくなった。
〈ママは、あたしがわるい子だから、出ていったんだ・・・〉
アスカちゃんは、いい子でいようと思った。
パパにめいわくをかけちゃいけない。わがままいっちゃいけない・・・。
アスカちゃんは、いつもいつも自分に言いきかせていた。

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