わすれんぼうのオオカミ、けっこんする(2/4)

文と絵・山庭さくら

「おえかき、したい!」
一ぴきの子ヤギがそういうと、みんなも「やるやる!」とクレヨンとおえかきちょうをもってきました。
「オオカミさんがかきたい!」
男の子のヤギも女の子のヤギも、ガブリといっしょにあそんでいるえをかきました。どのえも、ガブリがえがおで子どもたちとあそんでいるえです。
「オオカミさんにプレゼント!」
そういうと子ヤギたちは、つぎつぎとガブリにえをさし出しました。
《なんておいらはしあわせそうなかおをしているんだろう》
子ヤギたちのえを見ているうちに、ガブリはポロリとうれしなみだをこぼしました。

「ねえねえ、こんどは、わるものごっこしようよ。オオカミさんがガオーってぼくたちにいって、ぼくたちが、おもちゃのピストルでうつマネをするから、オオカミさんはたおれてね」
「ガオーっ」と、ガブリが大きなこえでおそいかかるふりをすると、子ヤギたちが
「バキューン。バキューン」といいながらピストルでうつマネをします。
するとガブリは
「や、やられたあ」と、バタリとたおれます。
子どもたちは大よろこび! おなかをかかえてゲラゲラわらっては、なんどもなんどもせがみます。
そうしてガブリが子どもたちとたのしくあそんでいたときに、子ヤギたちのおかあさんがかえってきました。

「ガオーっ」
オオカミが、子どもたちをおそおうとしているではありませんか!
びっくりしたおかあさんヤギは、だいどころから大いそぎでフライパンをもってくると、オオカミをやっつけようと、ふりあげました。
それを見たガブリは、びっくりして、おもわずしゃがみこみました。
「あっ、おかあさんなにするの! ぼくたち、オオカミさんとあそんでるんだよ」
「なにいってるの! オオカミはおまえたちをたべてしまうのよ。いつもえほんをよんであげていたでしょう」
そういいながら、おかあさんヤギがふとテーブルの上を見ると、たくさんの子どもたちのえが目に入りました。
どれも、やさしそうなオオカミが、たのしそうに子ヤギたちとあそんでいるえです。
オオカミガブリ2場面
「まあ、オオカミさん。ごめんなさい。子どもたちとあそんでくださっていたんですね。わたしとしたことがどうしましょう」
おかあさんヤギは、あやまりながら、ガブリをたすけおこしました。
ガブリはおかあさんヤギのことばに、子ヤギをたべに来たことをおもい出しましたが、
さっき、フライパンをふりあげられたことをおもいだして、やさしいことばは、ワナかもしれないと、ドキドキしました。
「これからおやつのじかんですから、オオカミさんもごいっしょにどうぞ」
おかあさんヤギのことばにほっとしたガブリは、子ヤギたちと一しょに、ドーナツをたべました。《ワイワイガヤガヤ、にぎやかにみんなでたべるのって、こんなにおいしいんだな》と思いながら。

「そろそろかえらなきゃな」
ドーナツをたべおえたガブリがいうと
「いやだ。まだかえらないで!」
子ヤギたちは、みんなで足にまとわりついて、はなしません。
「オオカミさん・・・。あら、まだお名まえをおききしてなかったわ。わたしはメイヤっていいます」
「おれさまはガブリ」
「ガブリさん、ぜひまた子どもたちとあそんでやってくださいね」
森をあるきながら、ガブリは子ヤギたちをたべるのをわすれたことをおもい出しました。
《こんどこそ、あのやわらかそうな子ヤギたちをたべてやるぞ》とおもったガブリは、子ヤギたちのいえから、そうとおくないところにいえをつくりました。

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山庭さくら について

山庭さくら(やまにわ さくら) 愛媛県出身。大好きな童話作家は浜田広助。 図書館での読み聞かせ、児童養護施設でのボランティア、大学病院の小児科でのボランティアでの読み聞かせを行ってきて、童話や絵本の大切さを実感。 2006年に出版した『ウータンタンのおはなし』は、大分県の夏休み課題図書に選ばれる。 その後、依頼で『不思議なコウモリ』や『シッポでさよなら』などを創作。これまで作った作品は20以上。読み終えた後に、心がほっこりする童話を書きつづけている。 HP:幸せつなぎスト