わすれんぼうのオオカミ、けっこんする(3/4)

文と絵・山庭さくら

いえができあがると、まいにち、ガブリは子どもたちにあいに行くようになりました。
でも、子どもたちとあそぶのがたのしくて、ついたべるのをわすれてはかえるのでした。

ある日のことです。
ガブリをすっかりしんようしているメイヤは、ガブリにるすばんをおねがいして、出かけていきました。
ゆうべおそくまでおきていた子どもたちは、あそんでいるうちにねむくなりました。
「さあさあ、みんなひるねしろよ」
ガブリは、子どもたちをベッドにつれて行きました。
よっぽどつかれていたのか、子どもたちは、すぐにスースーねいきをたてはじめました。
「なんてうまそうなんだ」
子ヤギたちのねがおを見ているうちに、ガブリのよだれがポトポトポトとおちました。
「もうガマンなんねえ」
そういってガブリはすえっ子の手をパクリ。
「アチチチ。な、なんだあ。」
口に入れた子ヤギの手が、もえるようにあつかったのです!
「大へんだ! ねつがある!」
またまたガブリは、子ヤギをたべることをすっかりわすれ、川までつめたい水をくみにはしりました。
なんどもなんども、ガブリがタオルをかえてやったおかげで、子ヤギのねつはすこしずつ下がっていきました。
いえにかえってきたメイヤは、どんなにガブリにかんしゃしたことでしょう。
そうして、ガブリは、ますますメイヤや子どもたちに、しんらいされてしまったのです。

そのうち、メイヤもいえの中のことを、いろいろガブリにおねがいするようになりました。
「ガブリさん。あのでんきゅうをとりかえてくださる?」
オオカミガブリ3場面
でんきゅうをとりかえて、メイヤがあんしんしたところを、ガブっといただこうとおもったガブリは、そのしごとをひきうけました。
でも、子どもたちが、はしごをおもしろがってゆらすものですから
「や、やめてくれぇ」と、さけんでいるうちに、メイヤをたべるのを、すっかりわすれてしまいました。
「ガブリさん、へやのもようがえをしたいの。このはしらどけいをうごかしてくださる?」
とたのまれたときも、はしらどけいのあまりのおもたさに、メイヤをたべるのをすっかりわすれてしまったガブリでした。
そのうちに、メイヤの「ありがとう」が気もちよくなったガブリは、ついたべるのをわすれて、メイヤのたのみごとを、いそいそとうれしそうにやってしまうのでした。

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山庭さくら について

山庭さくら(やまにわ さくら) 愛媛県出身。大好きな童話作家は浜田広助。 図書館での読み聞かせ、児童養護施設でのボランティア、大学病院の小児科でのボランティアでの読み聞かせを行ってきて、童話や絵本の大切さを実感。 2006年に出版した『ウータンタンのおはなし』は、大分県の夏休み課題図書に選ばれる。 その後、依頼で『不思議なコウモリ』や『シッポでさよなら』などを創作。これまで作った作品は20以上。読み終えた後に、心がほっこりする童話を書きつづけている。 HP:幸せつなぎスト