アカネと銀河の遊園地(10/15)

文・泉 あおり  

10 太陽系にやってきた!

「ワオッ」
パパが白い歯を見せました。
「あらまあ」
ママが笑みをつくりました。
「えっ、なに?」
アカネはおそるおそる目を開けました。
アカネたちの目のまえに、大きな星があらわれたからです。
その星の表面からは、赤いほのおが竜のように立ちのぼっています。見ているだけで、とけてしまいそうな、赤い赤い世界が、アカネの視界をうめつくしました。

「げっ、太陽じゃん!」
アカネがまどに顔をはりつけました。
「あんまりちかづかないでよぅ」
アカネはママの手を強くにぎりました。
「だいじょうぶよ、ちゃんとシールドがあるから。ねっ」
ママもパパの手をにぎりました。
「まかせなさい! 車内のエアコンも、ばっちりさ」
あまった手で、パパが自分のむねをたたきました。
「しっかし、暑そうだなあ。パパは苦手なんだよなあ」
パパはアカネたちのまえで本音をもらしたのです。
「やっぱりィ」
ママとアカネが顔を見あわせました。

太陽系の1日目は、金星に立ちよりました。
太陽系で人気のある、金星のトロピカルホテルに行きました。そのホテルは、金星の大気けんにまでとどきそうなほどの、せの高い建物でした。
さっそくアカネたちは、200階建ての最上階にある、支配人おすすめの露天風呂へとむかったのです。
オレンジ色の空を、三人でゆっくりとながめました。
しばらくして日が暮れると、アカネたちの視界は、宇宙一色にそまったのです。
空のあちこちでは、流れ星がなんども走っていきました。青い空間に、白い線が何本も流れていったのです。

「なんだか、ツメの先みたいだなあ」
パパが空を見ながら言いました。
するとママはくすりと笑って、「パパのツメは、タバコのすいすぎで、まっ黄色じゃないのよ」と言葉を返しました。アカネもつられて、「昨日買ったママのブラウスも、まっ黄っ黄じゃない」と二人を茶化しました。
そのとき、パパとママがちらりとし線を見あわせ、うっすらとほほを赤くさせました。二人の間にいたアカネは、自分のおなかがこそばゆくて仕方がありませんでした。
「明日は地球だぞ」
パパが空を指差しました。
「わたしたちの祖先がくらした星に行くのね」
むねに手をあてて、ママがつづけました。
明日は地球なのだ、とアカネは心のなかで声を発したのです。

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泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 ふと子供の本を書こうと思いつき、会社を飛びだしました。 今は時間を見つけては、童話と児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員