アカネと銀河の遊園地(3/15)

文・泉 あおり  

三 火の玉がでた!

アカネとケン太は通学路を歩いていました。
道の右側には、ケヤキの木が立ちならぶ、うす暗い森がありました。そんな道を二人で歩いていると、ケヤキの森のほうからきみょうなうわさ話が聞こえてきたのです。
ドンッ。
「あいたっ! きゅうに立ち止まんないでよ」
「しっ。なんか、聞こえるぞ」

さきに気がついたのはケン太でした。ケン太は道のまんなかで立ちどまると、首をきょろきょろとさせて、あたりを見まわしました。青いランドセルをしょった男の子たち二人が、ケヤキの森の下で、ひそひそ話をしています。
「ここ、火の玉がでるんだってよ」「しかも、青いらしいぜ」「こえー」
今度は、アカネの耳にもはっきりと聞こえました。男の子たちは、物音を立てないようなそぶりで、ケヤキの太いみきにうでをまわして、森のおくをながめています。どうやら、ケヤキの森のむこうに何かがあるようです。
男の子たちのしせんのさきを、アカネとケン太は首をのばしてのぞきこみました。するとそこには、石づくりのおはかが立ちならんでいたのです。

「墓地だ!」
おどろいて、アカネはカメのように首をひっこめました。そして、ケン太のせなかにかくれてしまいました。
「なんだ、こわいのかよ」
「こんなところにおはかがあるなんて、あたし知らなかったもん」
「だいじょうぶだって。おれは一回も見たことねえしな、オバケなんて」
それを聞いても、アカネは森のむこうに目をやることができませんでした。セミの声だけが、アカネの気もちをいくらか和らげるだけでした。
「はやく、ここをぬけようよ」
けっきょく、アカネはケン太をたてにしてケヤキの森の道を通りすぎたのです。
「わかったよ。ほんとこわがりだなあ」
アカネはケン太のせなかにしがみついて、早足のままケヤキの森を通りすぎたのです。

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泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 ふと子供の本を書こうと思いつき、会社を飛びだしました。 今は時間を見つけては、童話と児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員