アカネと銀河の遊園地(9/15)

文・泉 あおり  

9 ワープを使おう!

「おっ!」
パパがきょろきょろと首をまわしました。
「まあ、クラシックね」
ママが耳に手をあてました。
とつぜん、宇宙空間にミュージックが鳴りだしたのです。
「ベートーベンか?」パパがママに聞くと、
「ちがうわよ。モーツァルト」とママがていせいをしました。
「あれ、見て!」
アカネが、スペースレールの上空を横ぎっていく、巨大な宇宙船に指をさしました。

「あら、『星のオーケストラ』じゃない」
「どれどれ」
パがまどから外をながめました。
「あの宇宙船、なんだか風船みたいだなあ!」
アカネが見た宇宙船は、「星のオーケストラ」が、宇宙で音楽を演そうをするための大きな風船型の乗り物だったのです。
「あそこに、カレンちゃんが乗ってるんだ!」
アカネが高い声をだしました。
「地球にも、来るといいわね」
「どうせなら、ちかくで見たいもんだなあ」

スペースレールではじゅうたいが発生すると、「星のオーケストラ」の演そう家たちが、音楽をかなでに、宇宙までやってくるのです。
それは、運転をしている人、同席している人のストレスをほどよくゆるめるためにと、銀河連合がとり決めたことでした。
このとき、アカネはカレンちゃんの姿を見つけることはできませんでしたが、アカネの心は音楽のはからいもあって、みるみると晴れわたっていったのです。

「宇宙にやってきて、ほんとよかった!」
「宇宙って、ほんとうにたのしいわね」
ママはうっとりとした目を宇宙船にむけました。
「このおかげで、宇宙では交通事故が、ほとんど起こらないらしいぞ」
パパもすっかりと元気をとりもどし、鼻をふくらませました。

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泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 ふと子供の本を書こうと思いつき、会社を飛びだしました。 今は時間を見つけては、童話と児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員