シッポでさよなら(2/3)

文・山庭さくら   絵・志村弘昭

秋が始まったころ、ぼくは首にピンクのリボンのついた、白いふわふわの毛をした女の子に出会いました。
シッポで2場面女の子は、とてもふあんそうに見えました。
「こんにちは。このあたりでは見かけないネコだね」
「わたし、はじめて外に遊びに出て帰ってきたら、おうちがなくなっていたの」
話を聞いてみると、外にさんぽに出て帰ってきたら、かいぬしが引っこしていなくなっていたようなのです。
はじめての外の世界がうれしくて、1週間も帰らなかったそうで、その間にかいぬしは引っこしてしまったのでしょう。
きっとかいぬしも、ずいぶんかのじょをさがしたんだろうなあと思います。

何度か会っているうちに、かのじょはぼくのガールフレンドになりました。
ぼくは、おなかをすかせているかのじょを、やよいさんのところまでつれて行って、ぼくのエサをあげました。
かのじょは、むちゅうで食べていました。
「まあ、ごめんなさい! あなたのごはんだったのに、こんなにも食べてしまって」
はっと気づいたかのじょは、ぼくが食べられるように、場所をかわってくれました。
食べられるりょうは半分になっても、かのじょがおなかいっぱいになるのを見るのは、幸せなことです。
「そとお君は、かのじょ思いなのね。かのじょが食べている間、ちゃんと守ってあげてるなんて、男らしくてすてきだわ」
やよいさんの心の声にてれてしまうぼくでした。
他のネコが来ると、かのじょがゆっくり食べられるように、ぼくはフーッっとおこって、追いはらいます。
やよいさんのおかげで、ぼくたちはおなかをすかせることなく、寒い冬でも、心も身体も温かくすごせていました。

そんな12月22日のことです。
やよいさんのご主人が、とつぜん、なくなってしまったのです。
やよいさんの家の中から、かなしみがあふれ出てきて、ぼくは、つらすぎて、そこにいることができませんでした。
そしてその日から、ぼくはやよいさんの家に行くことができなくなったのです。やよいさんのなく声を聞いて、心がしめつけられるような気がしたからです。
ご主人をなくしたかなしみの中でも、やよいさんは、ぼくたちへのエサをわすれた日はありませんでした。
ぼくは行けなかったけれど、かのじょ女だけは、毎日食事をしに行っていました。
「『そとお君が来なくなって、どのくらいかしら。ねえ、白雪ちゃん、そとお君は元気にしてるの?』って聞かれたわ」
かのじょの言葉から、やよいさんが、ぼくのことを心配してくれているのがわかりました。
かのじょも、白雪ちゃんという名前を、やよいさんにつけてもらったようです。
なんでも白雪ひめという真っ白なおひめ様がいたそうで、そこからとった名前なんだそうです。

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山庭さくら について

山庭さくら(やまにわ さくら) 愛媛県出身。大好きな童話作家は浜田広助。 図書館での読み聞かせ、児童養護施設でのボランティア、大学病院の小児科でのボランティアでの読み聞かせを行ってきて、童話や絵本の大切さを実感。 2006年に出版した『ウータンタンのおはなし』は、大分県の夏休み課題図書に選ばれる。 その後、依頼で『不思議なコウモリ』や『シッポでさよなら』などを創作。これまで作った作品は20以上。読み終えた後に、心がほっこりする童話を書きつづけている。 HP:幸せつなぎスト

志村弘昭 について

風景画からユニークな楽しい絵まで、幅広いタッチの絵を描く。 自身で作った、武蔵野市の民話を中心とした紙芝居でボランティア活動を行い、老人ホームでの高齢者や、商業施設での子どもたちに大人気。 また、警察署から頼まれ、交通安全の紙芝居なども作っている。