ズゼちゃん大好き~エドガルス・カッタイの記録から(4/7)

文・小熊猫吉  

ズゼちゃんの旅立ちを知った市民が岸辺から手をふってくれます。
ズゼちゃんはリーガの街並みの光景をしっかりと目に焼き付けました。
「行ってきます。リーガの皆さん。悲しまないでね。神戸の皆さんに可愛がってもらえると信じていますからね。さようなら」
ズゼちゃんはつぶやきました。

フェリーボートは川の流れにゆったりと乗ってくだっていきました。
夏は白夜の季節です。
夕焼けがいつまでも赤く空を彩っています。
船の甲板に置かれた輸送おりの中でうずくまっているズゼちゃんの背中をあかね色に染めています。

共に旅をする私はがやさしく鼻をなぜながら、「これから長い旅を一緒にするので安心しろよ。餌も新鮮な野菜を途中の港で手に入れてあげるからね。」と語りかけました。
夕日が沈んだと思うとすぐに朝日となって太陽が登ってきます。

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小熊猫吉 について

(こぐま ねこきち)1937年生まれ。岐阜大学農学部獣医学科卒業。1993年~1998年王子動物園園長。現在80歳です。70歳まで動物園で獣医師として動物たちの健康管理などをしていました。 動物園で学芸員の資格を取得してから10年間毎週土・日に動物の子育てや暮らしぶりについて子供たちに30分程度話していました。話すだけでなく紙芝居を作成して話すようになりました。