ズゼちゃん大好き~エドガルス・カッタイの記録から(5/7)

文と絵・小熊猫吉

貨物室の中はうす暗らくエンジンの爆音がやかましくて、私は頭痛がしました。
でもだんだん慣れてきてうつらうつらと寝てしまうこともました。
時々私はバナナをズゼちゃんの口に入れ、水をバケツに入れて与えます。

一度どこかの飛行場に降りて給油をしたようです。
また飛び立ちました。

2日目の朝方。
「ズゼちゃん、日本に到着したよ。一安心だ。日本の国の飛行場もドイツの飛行場とよく似たとこだよ。やっと外の空気が吸えるよ」
私はズゼちゃんに声をかけました。

荷物室から下ろされて周りの景色が見えました。
向こうの緑濃い山並みがきれいです。
飛行場の荷物置き場に運ばれると、いかめしい服装の検疫官と税関員での通関手続きがありました。
輸送おりの床にあるウンコや敷きわらがきれいに引き出されて掃除されます。

付き添いの私と神戸の王子動物園の獣医さんとで引継ぎの話し合いができました。
私の護送の任務が終わりました。
「長い旅でしたね。ご苦労さま。ズゼちゃんの状態はどうですか」
王子動物園の獣医さんがたずねます。

「OK。ノー プロブレム。ズゼ イズ ベリー グッド」
私は答えました。
新しい水が入ったバケツが私の前におかれました。
「美味しい日本の水を一杯飲ませてやってください」
獣医さんが話しかけてくれました。
冷たい新鮮な日本の水はズゼちゃんのお腹にしみ渡りました。
ズゼちゃんは気持ちもしっかりとしてきたようです。

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小熊猫吉 について

(こぐま ねこきち)1937年生まれ。岐阜大学農学部獣医学科卒業。1993年~1998年王子動物園園長。現在80歳です。70歳まで動物園で獣医師として動物たちの健康管理などをしていました。 動物園で学芸員の資格を取得してから10年間毎週土・日に動物の子育てや暮らしぶりについて子供たちに30分程度話していました。話すだけでなく紙芝居を作成して話すようになりました。