ズゼちゃん大好き~エドガルス・カッタイの記録から(7/7)

文と絵・小熊猫吉

ゾウ舎の寝室の窓には、白いカーテンで外が見えないように仕切られています。
ズゼちゃんが落ち着いて部屋に慣れるまで、お客さんに見られないように、と気をつかってくれているのです。
1週間ののち、この部屋に慣れてから、ズゼちゃんはグランドに出る訓練をします。
そして王子動物園の飼育係の人に私のトレーニング方法の指導を始めます。

私が英語でズゼちゃんに号令をかけます。
園長さんが日本語に通訳して、英語と日本語で号令を掛けます。

「カムオン。こっちへ来い」
「ストップ。止まれ」
「ダウン。座れ」
「バック。後へ戻れ」
「ラングル。鼻を上げろ」
などたくさんの号令をかけます。

「リフト」とは足を上げる動作です。
これは、足の裏の掃除をしたり、爪の状態をみたり、けがをしていないかなどの日常の体調を検査することに必要です。
また健康診断では血液検査に必要な採血をしなければなりません。
採血は大きな耳からします。
耳には静脈が大きくふくれて通っているのが見えるからです。
嫌がらずに採血させてもらうために、毎日ズゼちゃんと身体のふれあいをします。
これは信頼感を持ってもらうために必要なことなのです。

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小熊猫吉 について

(こぐま ねこきち)1937年生まれ。岐阜大学農学部獣医学科卒業。1993年~1998年王子動物園園長。現在80歳です。70歳まで動物園で獣医師として動物たちの健康管理などをしていました。 動物園で学芸員の資格を取得してから10年間毎週土・日に動物の子育てや暮らしぶりについて子供たちに30分程度話していました。話すだけでなく紙芝居を作成して話すようになりました。