タロウごいのぼうけん(2/3)

文と絵・山庭さくら

ところが、とつぜんスーパーのゴミぶくろにからまってしまい、うごけなくなってしまったのです。
「たすけてくれぇ」
そのこえをきいて、きてくれたのは、さっきたすけてあげた、あの小さな赤いさかなでした。
「こんどは、わたしがたすけてあげるばんだわ」
Sタロウごい2場面 赤いさかなは、ツンツンつついて、からまったスーパーのふくろをはずしてくれました。
「たすけてくれてありがとう」
タロウごいは、ほっとして、おれいをいいました。
2ひきはそのあと、しばらくいっしょにおよぎました。
川の中には、いろいろなゴミがおちています。ながぐつやあきかん。ふかいところには、なんとじてんしゃまでしずんでいます。
「川の中って、ずいぶんきたないんだね。上から見ていたときには、わからなかったけど」
「おじいちゃんがいってたけど、むかしはきれいなすんだ水だったんですって。でも、今は、にんげんがゴミをなげこむから、こんなにきたなくなったの。わたしもいちどでいいから、きれいな川でおよいでみたいわ」
小さな赤いさかなは、じょうずにゴミをよけながらおよぎますが、タロウごいはペットボトルやあきかんにぶつかります。
ゴミにぶつかっているうちに、タロウごいは、だんだんボロボロになっていきました。
およぐ力もなくなって、水にながされていくだけです。
「そろそろ、わたし、いかなくちゃ。わたしは川でしか生きられないから、ここから先は行けないの。気をつけてね。さようなら」
そういうと、小さな赤いさかなは行ってしまいました。
川の水と、うみの水がまじりはじめ、ついに川は、うみになりました。
タロウごいも、ゴミといっしょに、うみにながれて行きました。
「うわぁ、しょっぱい!」

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山庭さくら について

山庭さくら(やまにわ さくら) 愛媛県出身。大好きな童話作家は浜田広助。 図書館での読み聞かせ、児童養護施設でのボランティア、大学病院の小児科でのボランティアでの読み聞かせを行ってきて、童話や絵本の大切さを実感。 2006年に出版した『ウータンタンのおはなし』は、大分県の夏休み課題図書に選ばれる。 その後、依頼で『不思議なコウモリ』や『シッポでさよなら』などを創作。これまで作った作品は20以上。読み終えた後に、心がほっこりする童話を書きつづけている。 HP:幸せつなぎスト