ハトのオイボレ、最後の冒険(8/8)

文・伊藤由美   絵・伊藤 耀

「きれいだろう? だけど、あれは魚いっぴき住めない毒の水。死の湖なんだ」
いつの間にか、また、マママガモがそばに来て、言いました。
「ここが蔵王のてっぺんだよ。あんたとは、ここで、お別れだ。私たちは、もっと先まで、行かなくちゃならないからね。じゃあ、さようなら。うまくやりなよ。グェー、グェー!」
マママガモが、少し東に方向を変え、飛び去って行きます。
グェー!グェー!っと、ほかの仲間も続きます。

「さようなら、ハトのおじいさん!」
「太陽王に会えますように!」
などと、口々にあいさつもして行きます。
最初にオイボレとぶつかりそうになった子どものマガモも、声をかけてきました。
「ママがおじいさんのこと、『ドバトにしちゃ、ガッツがある』って。おじいさん、ママに気に入られたんだよ。『鳥たるもの、最後までほこり高く』ってのが、ママの口ぐせだからね。じゃ、さようなら」

「ぶつかりそうになって、すまなかったね」
オイボレは、やっと、これだけ、言葉を返しました。
マガモの助けで、どうにか、ここまで来られたものの、もう、いくらも力が残っていなかったからです。

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伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井県福井市在住。 『指輪物語』大好きのトールキアン。その上にトレッキー(「スター・トレック」ファン)でシャーロキアン(「シャーロック・ホームズ」ファン)と、世界3大オタクをカバーしている。

伊藤耀 について

(いとう ひかる)1992年福井県福井市生まれ。仁愛大学人間学部心理学科卒。いつもはウサギばかり描いているが、ときどき、母親の童話に挿絵を描いている。福井市在住。創作工房伽藍で勉強中。