ページをめくるたびハッピーが溢れ出す

どこどこハート書影どこどこハート
tupera tupera 著
ブロンズ新社

tupera tupera(ツぺラ ツぺラ)との出合いは4年前の夏。英語を使った絵本を制作するため、いろんな本屋を巡っていた時のこと。
絵本コーナーをのぞく度に、ひときわ目立つ絵本があった。毎回なぜか手にとってしまうのはtupera tuperaの作品だった。いくつもある素敵な作品の中で、私が特に好きなのが今回紹介する『どこどこハート』だ。
小さいサイズの絵本からは今にもはみ出しそうなエネルギーが溢れていて、ヴィヴィッドでポップな色使いは見ているだけで元気になる。カラフルで可愛くって、外国の子供部屋にありそうなイメージだ。

作品にはいろんな大きさのハートが隠れている。どこどこハート、ハートはどこかな、探してみよう。
お魚のしっぽ、豚さんのお鼻、おじさんの髭など、よく見るとハートの形になっていて、思わずクスッと笑ってしまう。
数あるtupera tuperaの作品の中で「なぜこの絵本が好きなのか?」と聞かれると、やはり作品にたくさんの「ハート」がちりばめられているからだ。
特に私のお気に入りは、お母さんが子どもにキスをする絵と「あなたが とっても だいすきよ どこどこハート」という文章だ。

ロンドン留学中、最初にお世話になったホームステイ先では小学校と保育園に通う子どもがいて、ホストマザーはお腹に3人目を身籠っていた。
毎日、夕食後には一家団欒の時間があり、ホストマザーはいつも子どもたちを抱き寄せて「I love you」と言いながら頬にキスをした。それはとても素敵な光景で、そこには幸福な時間が流れていた。日本と欧米の文化は異なるが、大切な人に「愛している」ときちんと言葉に出して伝えることは決して恥ずかしいことでも難しいことでもなく、とても大切なことなんだと感じた。それから、私はハートマークが好きになった。

この絵本を見ていると、あの時に感じたようなハッピーでピースフルな気持ちになる。ふんわりと優しく温かいものに包まれているようで、とても気持ちが良いのだ。
そして、読みながら思わず歌ってしまいそうになるシンプルでリズミカルな文章も魅力的だ。
「ケッコー あさから おおさわぎ どこどこハート」
「つよいぞ つよいぞ ウッホッホ どこどこハート」
まだ文字が読めない子どもも、ポップな絵と弾むような音で感覚的に楽しめる作品だ。この絵本を手に取った人たちがハッピーな気分になりますように。

◆購入サイトはこちらから →どこどこハート

1 / 11

中村加菜子 について

(なかむら かなこ)大阪出身。神戸女学院大学を卒業した後、ロンドンへ留学。2013年に絵本シリーズ『トトとムー おかしのまちへいく』(ワークス)を出版する。現在はイラスト制作を中心に、チラシやパッケージデザイン、書籍挿絵、絵本制作などをしている。 HP:HELLO. 中村加菜子の世界