ロイちゃん(5/6)

文・泉 あおり  

「見たか、テレビ?」
「おれ、うつってた! ついにゆうめい人だぜ」
おととい、山でそうなんしたスズ子たちは、真っ暗な森でぶじに救出されていた。
帰ってこないスズ子たちに、先生や親たちが、けいさつにそうさく願いをだしたのだ。
「ヘリコプターって、すごい音するんだなー」
けいさつだけでなく、助けられたスズ子たちのまえには、新聞記者のすがたがあり、空にはヘリコプターまでが飛んでいた。
おかげで、「小学生が遠足でそうなん!」といった、朝のちょっとしたニュースにまでとりあげられてしまったのだ。

ガラガラ。
「オハヨーさん。みんな、元気かー?」
朝いちばん、教室にはいってきたきん肉ムキムキの先生は、白いクルクルのかみの老人をつれていた。
「こちらは、ロイちゃんをつくった、安東博士だ」
「外国にいってるあいだ、落としたロイコのめんどうを見てくれて、どうもありがとう」
お礼を言いにやってきたのは、世界的に有名な科学者の、安東博士だった。
「博士は、ニュースで井上のスマホを見かけたってわけだ」
「わたしがつくったロイコのせいで、みんなにめいわくをかけてしまったようだ」
安東博士は、遠足のそうなんじけんをしって、むねをいためているようだった。

シーン。
教室がしずまりかえると、
「ざんねんだが、今日でロイちゃんとはお別れだ。井上、そしてみんなもいいな?」
ときん肉ムキムキの先生が悲しそうな目をむけた。
「へ、へぇ・・・」
スズ子は、つくえのうえでスマホをぎゅっとにぎりしめた。
じゅう電ぎれのロイちゃんは、今日も一言もしゃべらなかった。
そんなスズ子を見つけて、
「これからはロボットの時代。いろんな機械がロボットになっていくだろう。だからこそ、わたしはみんなに愛されるロボットを作ろうと思ったのじゃ」
と博士がかたをおとしながら、スズ子の席へとやってきた。

ドキドキ。
「だが、ロイコは失敗作じゃった」
そう言って手をさしだす博士に、スズ子は口をもごもごさせた。
――ロイちゃんが、失敗?
「井上スズ子さん。ロイコを、かえしてくれるね?」
「あ、あのぉ・・・」
博士のことばに、スズ子のむねはズキズキといたくなった。
「そ、そのぉ・・・へ、へぇー」
「みんなに好かれる、人なつっこいロボットを作ったつもりが、はんたいに、みんなのめいわくになってしもうた」
博士がスズ子の席から、みんなに頭をさげた。
パッ。
「あ、あぁ・・・」
そうして博士は、スズ子の手からロイちゃんを、つかみとってしまったのだ。
ガラガラガラ、ピコーンピコーン!
「おせわになったみんなへ、プレゼントを」
そのとき、いちだいのロボットが、教室のなかへと入ってきた。

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泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 ふと子供の本を書こうと思いつき、会社を飛びだしました。 今は時間を見つけては、童話と児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員