ロイちゃん(6/6)

文・泉 あおり  

――ロイコは失敗作じゃ。
「へ、へぇぇ、・・・そうかなぁ」
給食の時間、スズ子はつくえでボーっと、博士の言葉をおもいだしていた。
「なんか、しずかだよね」
すると、となりで給食を食べおえた赤井さんが、ヒソヒソ声ではなしかけてきた。
「みんな、つくえでボーっとしてる」
「へ、あ、だよねぇ、空気、おもいよねぇ」

あのじけんのあと、スズ子のクラスからは、アンドーシュウサイもすがたを消してしまっていた。
「井上さん、いざシュウサイもいなくなると、さみしいものね」
「な、なるよねぇ、わたしたちのそばには、ずっとロボットがいたもんねぇ」
シーン。
もうだれも、教室でボールをなげようとはしなかった。
「おこる人がいないと、はんたいに、はしゃがないのよね」
「あるよねぇ、言われるから、ていこうする、みたいなぁ」

――ロイコは失敗作じゃ。
また、博士の言葉がスズ子の頭をよぎっていった。
「はぁー。でもぉ、いやぁ、はぁー」
ロイちゃんは、たしかにめいわくをかけたかもしれない。
ロイちゃんは、たしかにベラベラしゃべるかもしれない。
ロイちゃんは、たしかにわがままかもしれない。
「へー、でもぉ、はぁー」
スズ子は、つくえでぎゅっと空気をつかんだ。
けれどもう、スズ子の手は、ロイちゃんをにぎってはいなかった。
「はー、なんかダメだぁ、わたし、ダメだぁ・・・」

キーンコーンカーンコーン。
スズ子がつくえでぐったりしていると、
「なんだーここは? しゃべっちゃいけない図書室か? いやちがうぞ、ここは教室じゃないか。みんな、もっとはしゃいでいいんだぞー、わっはっは!」
ときん肉ムキムキの先生がやってきた。
「アンドーシュウサイは、もうだいじょうぶじゃ」
と、シュウサイをしゅう理していた博士もいっしょだった。
「ところで、みんな元気がないようじゃなあ」

シーン。
「ロイコは失敗じゃったが、またシュウサイがもどってくる」
そのとき、スズ子の頭のなかで、なにかがピンとはりつめた。
「これだけ教室が静かになる。きっとシュウサイは、クラスのにんきものだったのじゃろう。それにたいして、ロイコは大失敗じゃった」
ピンとはりつめたものが、さらにピーンとはっていった。
「あんなロボットは、めいわくになるだけじゃ」

1 / 41234

泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 ふと子供の本を書こうと思いつき、会社を飛びだしました。 今は時間を見つけては、童話と児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員