動物村のことわざ会議(3/4)

文・山庭さくら   絵・にわ かずえ

「『犬が西向きゃ尾は東』なんて、当たり前のわかりきっていることのたとえだそうですが、人間も本当におかしな生き物だと思いますよ。人間だって前を向いたらおしりは後ろですよねえ。そんな当たり前のことを、なぜわざわざことわざにするんでしょうねえ」
犬のポチもふしぎそうです。
「そういやあ『犬えんのなか』っていうのは、なかがとても悪いことのたとえだっていうじゃないか。だれがオレたちサルと犬のなかが悪いって決めたのかねえ。人間の子どもだって『ももたろう』の話は知ってますぜ。ももたろうのけらいは犬、サル、キジ。なかよくなけりゃあ、おになんてたいじできないことくらいわかりそうなもんなんだがなあ」
物知りのサルのすけが首をかしげました。

みんなあれこれ人間にもんくを言いはじめたので、だれが何を言っているのか聞こえなくなったときです。
「ふわぁ」
大きなあくびの声にみんな、びっくりしました。
「ライオンは百じゅうの王と言ってくれる人間はいい生き物だと思うよ」
村長のライオン丸がのんびり口を開いたので、みんな急にだまりました。
「ほめてもらってるのは村長くらいなもんだよねぇ」
あちこちで、みんなのひそひそ声が聞こえます。

そのとき、後ろのほうから黒ヒョウの子どものヒョウタロウが出て来ました。
「みんないいなぁ。ぼくなんて、人間に悪いことすら言われないんだよ」
「そういえば黒ヒョウが何とかって聞かないわねえ」
みんなで考えましたが、だれ一人思い出せません。
「それじゃあ『暗やみに黒ヒョウ』っていうのはいかが?」
ネコのミー子がていあんすると、みんな大さんせい。
3場面
「かくれるのが上手な様子を言うんだね?」とコン吉が聞くと
「いつ何があるかわからないからゆだんするなってことでしょう?」とブタ子さん。
どっちがいいかなあとみんながなやんでいましたが、「かくれるのが上手なことがいいなあ」というヒョウタロウのひとことであっさり決まりました。

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山庭さくら について

山庭さくら(やまにわ さくら) 愛媛県出身。大好きな童話作家は浜田広助。 図書館での読み聞かせ、児童養護施設でのボランティア、大学病院の小児科でのボランティアでの読み聞かせを行ってきて、童話や絵本の大切さを実感。 2006年に出版した『ウータンタンのおはなし』は、大分県の夏休み課題図書に選ばれる。 その後、依頼で『不思議なコウモリ』や『シッポでさよなら』などを創作。これまで作った作品は20以上。読み終えた後に、心がほっこりする童話を書きつづけている。 HP:幸せつなぎスト

にわかずえ について

神奈川県出身。ゆうゆう絵本講座 4期生。 今人舎より出版の絵本『てをつなごう』(きむらゆういちのゆかいななかまたち)に絵で参加。 クレヨン・クレパス画を中心に制作中。