地方でも作家の仕事はできる!

童話作家、絵本作家になるのは、出版社の多い東京(関東圏)に住んでいないと不利なのでしょうか? 誰しもが不安に思うことです。通信手段の発達した今は、地方でも作家活動はできます。長崎在住の気鋭の童話作家が皆さんの疑問や不安に応えます!

◆長崎で童話は書ける?◆
私は現在長崎に住んでいます。童話を書き始めた16年前は東京に住んでいました。長男の誕生を機に故郷へ帰る決心をしたのですが、地元での子育てに期待する半面、プロの童話作家を目指す身としては、大きな不安がありました。

もともと教育系の出版社に勤務していました。一緒に仕事をする作家・画家は関東在住が圧倒的に、多く実際に会ってやりとりをすることが多かったのです。地方にいることは距離的にハンデが大きい、と経験的に感じたのです。

◆デビューできるの?◆
ペン ブルー仕事ができるのかという不安の前に、そもそもデビューができるのか?という大きな壁がありました。
詳しくは別の機会に書きますが、私の場合、童話コンテストの入賞よりも、童話作家の団体(日本児童文芸家協会)に出合いプロの作家に添削してもらい、子どもの本に本気で向き合ったこと、独りよがりの作品から脱皮したこと、創作仲間ができ、刺激を受けたこと。その後その協会の会員となったことが大きな機会となりました。

通信添削を受ける、勉強会に参加するなど地方にいてもできることは多くあります。一方で年に2回は上京することを目標とし、童話展に出品したり、勉強会に出席したりしました。その中で編集者との出会いもあり保育絵本の月刊誌でデビューすることができました。

◆「地方=ハンデ」ではない◆
十数年前と違い、通信手段は大幅に発達しました。依頼はまず電話が多いです。原稿のやり取りはメール添付。作品提出後の連絡は電話とメールが半々くらいです。
絵のラフの受け取りは以前は郵送が多かったのですが、今はやはりPDFなどのメール添付。色を見る最終校正だけ郵送で届く(通常でも東京ー長崎間で2日、早い便だと1日で到着)といった感じです。

当初心配していた地方にいても仕事としてのハンデはほぼなかったのです! とは言え、私は今でも年に2回は上京して作家・編集者の集まりに出席したり、出版社を訪問するようにしています。
人対人のお仕事なので、担当者のお顔は知っておきたいし、お話することでアイデアの交換や相手の仕事としてのニーズも知ることができます。

余談ですが東京の創作仲間に「地方在住ということをあなたの魅力だと思っては?」というアドバイスをもらい、今では「長崎の新井悦子」ということを誇りに思っています。地方=ハンデではなく、自分の作品世界の土壌、バックボーンだと思えたらいいですね。

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新井悦子 について

長崎県在住。保育絵本キンダーブック2(フレーベル館)の生活コーナーのお話を4年間執筆。絵本に『きょうはとくべつなひ』 (教育画劇)、『いたいのいたいのとんでゆけ』 (鈴木出版)、『だいすきのしるし』 (岩崎書店)、訳本に『中国のおはなしシリーズ』(Benesse)、紙芝居に『ちんちろりんおばけ』『なすおばけ』など(教育画劇)。創作の他に英語教材のストーリー制作、ワークブックの企画など。地元では子どもの本に関するボランティアグループおはなしマルシェに所属し、「させぼふるさと紙芝居」として地元の昔話『じんねみどん』『三川内の化け猫騒動』など現在5巻を制作。日本児童文芸家協会会員。