地方にいてもできること 地方だからできること

童話作家、絵本作家になるのは、出版社の多い東京(関東圏)に住んでいないと不利なのでしょうか? 誰しもが不安に思うことです。通信手段の発達した今は、地方でも作家活動はできます。長崎在住の気鋭の童話作家が皆さんの疑問や不安に応えます!

◆デビューまでの私の行動◆
童話を書き始めたのが16年前。ほぼ同時期に関東から長崎へ引っ越してきました。そんな地方在住の私が、デビューするまでとデビュー後に今も続けている「行動」を次のようにまとめてみました。

①まず子どもを知ること(育児・園や小学校で読み語りを通してなど)
②子どもの本を読むこと・知ること
③作品を人に見てもらうこと
④コンテストに応募
⑤プロ作家による添削
⑥編集者への働きかけ(いわゆる企画持ち込み)
⑦創作仲間と勉強会、情報交換

ペン オレンジ◆「地方でもできること」を活かそう◆
振り返ってみると、上記の①~⑤は住んでいる地域によるハンデはなく、どこでもできることです。
①については、住んでいる地域によって見えてくる子ども像は違うでしょう。教育・文化・習い事・異文化を持つ子どもたちがまわりにいるかなど都会と地方では子どもの育つ背景が違います。その環境の差を見つけることはおもしろいですよね。また環境は違っても子どもの持つ普遍性を探すことも大切です。
地方にいれば都会の子どもたちを見ることは難しいけれど、逆に都会に住む人は地方の子どもに触れる機会は少ないので、地方にいるデメリットではないです。

◆デメリットをメリットに変換!◆
一方、⑥と⑦に関しては距離的・経済的にはハンデは確かにあります。出版社は東京に集中していますし、書き手を目指す人の数も都会の方が多い。
私の場合、依頼作品ではなく、自分から作品を見てもらう場合、郵送・(承諾を得て)メールで送ることもありますが、できるだけ年に2回ほどの上京の際に直接編集者にお会いして見ていただくことを大切にしています。
私のようにのんびりしていた性格では、東京に住んでいれば、いつでも動ける=締切りがない、という甘えからだらだらと時間を過ごしてしまうかもしれません。地方から時々上京する=自分で締切りを設定してとにかく書く! これはメリットです。

◆地域性は作品に絶対に活かせる!◆
また作品に直接的に表出されるかどうかは別として、その地域ならではのテーマや興味深いものを取材することもおすすめです。
私の場合は、佐世保空襲を題材にした創作と地元の民話を再話する活動をしています。商業出版に直結してはいませんが、作品化され地元図書館での貸し出しや平和教育に活用されています。
思うに、地方に住んでいることで、その地域の特色を生かした作品づくりもできますし、その地域を日本の縮図だと考え、地域の子どもを見ることで普遍的な子ども像を知ることもできます。両方大切ですね!

同じ境遇の書き手のみなさん、地方にいることをぜひ味方にして創作してくださいね!

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新井悦子 について

長崎県在住。保育絵本キンダーブック2(フレーベル館)の生活コーナーのお話を4年間執筆。絵本に『きょうはとくべつなひ』 (教育画劇)、『いたいのいたいのとんでゆけ』 (鈴木出版)、『だいすきのしるし』 (岩崎書店)、訳本に『中国のおはなしシリーズ』(Benesse)、紙芝居に『ちんちろりんおばけ』『なすおばけ』など(教育画劇)。創作の他に英語教材のストーリー制作、ワークブックの企画など。地元では子どもの本に関するボランティアグループおはなしマルシェに所属し、「させぼふるさと紙芝居」として地元の昔話『じんねみどん』『三川内の化け猫騒動』など現在5巻を制作。日本児童文芸家協会会員。