太陽がほしかった王様(7/8)

文・伊藤由美   絵・伊藤 耀

目の下には、見渡す限り、雲の海原が広がっています。空は青く、水を打ったような静けさです。
でも、耳をすますと、かすかに、キーンと、ガラスをはじくような音がします。

「何だろう?」
見上げると、そこに太陽がありました。ダイヤモンドのような、固く、すんだ光を放っています。
「おお、何というまばゆさじゃ!」
王様の太陽を取りたい気持ちは前よりもっと強くなりました。
でも、今度は憎らしいからではありません。

「あれをわが宮殿の屋根に飾ったら、さぞや、ごうせいに輝くことじゃろう。さあさ、早く、取っておくれ」
王様は、せっかちに、お坊さんをうながしました。
すると、お坊さんは、
「では、ちょっと、失礼いたしますよ」
と言って、片手を、すうっと、王様の胸に差し入れました。驚いている間もありません。
お坊さんが手を引き抜くと、そのてのひらに、つるつるした、あわいピンク色のきれいなつぼが乗っているではありませんか。

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伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井県福井市在住。 『指輪物語』大好きのトールキアン。その上にトレッキー(「スター・トレック」ファン)でシャーロキアン(「シャーロック・ホームズ」ファン)と、世界3大オタクをカバーしている。

伊藤耀 について

(いとう ひかる)1992年福井県福井市生まれ。仁愛大学人間学部心理学科卒。いつもはウサギばかり描いているが、ときどき、母親の童話に挿絵を描いている。福井市在住。創作工房伽藍で勉強中。