太陽がほしかった王様(1/8)

文・伊藤由美   絵・伊藤 耀

王様が食事をする時には、召使いたちが、1000皿のすばらしいお料理を並べました。「王様、どうぞ、お選びください」
「うむ。これとあれ。それから、あっちと、そっちと、こっち・・・」
王様は好きなお皿を指さします。それから、王様が食べ始めるのをあいずに、100人のお妃たちが音楽を演奏し、もう100人のお妃たちが歌い出します。そのお妃ときたら、みな、天女のように美しかったのです。
「ああ、いともけだかき、マガタの王様
王様よりも強く、慈悲(じひ)深きものはなし・・・」
それなのに、近頃、王様は、食事が少しもおいしくありません。きょうも、ため息をついて、首を横にふりました。

「その歌にはあいたぞ。別のにせよ」
お妃たちは、あわてて、歌を変えます。
「いともかしこき、われらの王様
背高く、そのかんばせは輝くばかり・・・」
王様は、「やめよ」と、手を上げました。
「歌は、もう、よいぞ!」
すると、ひかえの、さらに100人のお妃たちが出てきて、踊り出しました。それでも、王様は、「ふわあ~」と、大あくびをしました。
それからというもの、王様はあくびが止まらなくなってしまいました。

2 / 3123

伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井県福井市在住。 『指輪物語』大好きのトールキアン。その上にトレッキー(「スター・トレック」ファン)でシャーロキアン(「シャーロック・ホームズ」ファン)と、世界3大オタクをカバーしている。

伊藤耀 について

(いとう ひかる)1992年福井県福井市生まれ。仁愛大学人間学部心理学科卒。いつもはウサギばかり描いているが、ときどき、母親の童話に挿絵を描いている。福井市在住。創作工房伽藍で勉強中。