弁慶とガリ勉(2/7)

文・池田幸生  

「ガリ勉、ちょっとつきあえよ!  球ひろいやらせてやっからよ!」
学校のクラスの連中は、真一がいつも塾がよいや勉強にせいを出しているのを知っているからか、からかいやちょう笑の対象にさえしていました。

でも、真一は、そんなことなどまったく気にはしませんでした。
第一に、真一は、大の運動オンチだったのです。
野球はテレビで観たくらいで、実際にやったこともないし、サッカーボールとドッヂボール、それにバスケットボールの違いさえよく分かってはいませんでした。

『そんなの出来なくてもいいや・・・』
いつも体育の時間になると、すみにいる真一は、心の中でそう思っていました。
でも、運動の時間を楽しそうに活発に動き回っている同級生や、走り回って女の子から声援を受けているクラスの男子を見ると、どこかうらやましいという気持ちが心の底にありました。

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池田幸生 について

(いけだ ゆきお)東京都墨田区出身。防衛省陸上自衛隊を退官して現在区役所に勤務。慶應義塾大学文学部を通信教育で卒業。高校時代から童話を趣味で執筆、いつか童話作家になりたいと勉強中。