弁慶とガリ勉(5/7)

文・池田幸生  

逃げるように学校から帰ろうとすると、
「おい待てよ!」
と後ろから声がしました。
真一が振りむくと、後ろから、弁慶が呼んでいました。

真一は、自分のせいで試合に負けてしまったので、弁慶におこられると思いました。
追いついた弁慶に、
「ごめんよ。僕、野球初めてで・・・」
そう言いました。

でも、弁慶は真一の言いわけを聞かず、
「ガリ勉、気にすんな。試合なんかどっちか勝てばどっちか負けるんだよ。お前のせいじゃないよ」
そう言いました。

真一は、弁慶の顔を見ました。
せいかんな、日に焼けた、いつもの弁慶の顔でした。
弁慶は、にやりと笑いました。
真一も、弁慶に笑いかけました。

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池田幸生 について

(いけだ ゆきお)東京都墨田区出身。防衛省陸上自衛隊を退官して現在区役所に勤務。慶應義塾大学文学部を通信教育で卒業。高校時代から童話を趣味で執筆、いつか童話作家になりたいと勉強中。