弁慶とガリ勉(7/7)

文・池田幸生  

それを見ていた弁慶は、先生に言うと、すかさずタイムをとりました。
そして、真一のそばにかけ寄りました。
真一は、弁慶を見て言いました。
「ひどいじゃないか! こんなことって! 僕が一体何をしたって言うんだ!?」
「ひどい? 何がひどいんだ!」
弁慶は言いました。

「だって・・・」
真一が口ごもると、弁慶は続けました。
「おい、ガリ勉! お前の今の目は、ガリ勉の目だ! でもお前は、以前の運動オンチのガリ勉じゃない! 自分を信じろ! 俺たちが努力してきたことを信じろ! 俺を信じろ! 俺たちを信じろ! 俺たちは友だちじゃないか!」
そう言われて真一は、弁慶の目をまっすぐに見返しました。
その目はもはや、ガリ勉の目ではありませんでした。

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池田幸生 について

(いけだ ゆきお)東京都墨田区出身。防衛省陸上自衛隊を退官して現在区役所に勤務。慶應義塾大学文学部を通信教育で卒業。高校時代から童話を趣味で執筆、いつか童話作家になりたいと勉強中。