弱くなりたい(3/4)

文・中村文人   絵・中野愛久美

「ハチくん、そんなところに立っていないで中にはいりたまえ」
「・・・」
くやしさと悲しさで、ぼくのからだはふるえていた。

「どうしたんだ、ハチくん」
「ぼく、みんなにめいわくをかけてたんです・・・」
ぼくはがっくりとうなだれた。
「そんなに落ち込むんじゃない。正義の味方、戦隊ヒーローが台なしだぞ」
「もうかいじゅうをやっつけられなくてもいい。ぼく、弱くなりたい」
「国からたくさんのお金をもらって、君らを作ったんだ。かいじゅうがあらわわれた時に変身してやっつける。それがハチくんの使命なんだよ」

「いやだ! 弱くなるよう変身させてください、博士」
「困ったなあ。そりゃむりだ」
博士は頭をかいた。

どうして? ぼくは思わずかべをたたいた。
ボッコ~ン!
かべにあなが開いた。
「こんなの、いやだー」
バーン!
軽くさわっただけで、ドアがはずれた。
「このばか力をなんとかしてよー」
「ハチくん、そんなことをいうんじゃないって」
「だって、だって~」
「そうだ! ハチくん、ちょっとまっていなさい」

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中村文人 について

(なかむら もんど)三重県で生まれ、奈良県で育つ。関西学院大学文学部卒業。経済系の出版社でビジネス書の企画編集の仕事に携わりながら、絵本や児童書の創作を続けている。日本児童文芸家協会会員。 主な作品に『みんなだいじななかま』(金の星社)、『ぶんきょうほけんじょのえほん せわになろうかな』(文京保健所)、『おとうじゃ、ないって』『おいらはケネルキャットサスケ』『トイプードル警察犬 カリンとフーガ』(佼成出版社)などがある。 ▼紹介動画はこちら↓ ​『トイプードル警察犬 カリンとフーガ』 ​​『おいらはケネルキャット サスケ』

中野 愛久美 について

中野愛久美(なかの めぐみ)佐賀県生まれ。有田工業高等学校デザイン科にて、初めて絵本創作を学び、絵本づくりの楽しさに魅了される。現在は、二人の娘を持つ母であり、子育てをしながら絵本の創作に励んでいる。東京デザイナー学院グラフフィックデザイン科卒業。日本児童文芸家協会研究会員。 おおしま国際手づくり絵本コンクール入選、ピンポイント絵本コンペ三次選考通過、graniphTシャツデザインアワード銅賞など、絵本やイラストのコンペ、その他グループ展などに積極的に出展している。 PuFuFu