消しゴムくん、旅にでる!(3/10)

文・泉あおり  

「いいか、もう一度だけ言っておく! おれは橋じゃなくって、じょうぎだからな!」
ついにジョーは、ぼくたちを窓辺にわたすため、橋になってくれると決心したのでした。
「きゃあ! 男っらしい! みなおしたわ、ジョー」
「う、うるせえよ」
ジョーは、肩ではげしく息をしました。
かなり緊張しているようすで、ジョーはソロソロと、足を一歩ずつ絶壁に進めていきました。

「ゴー、ピン子、見てろよ。い、いい、いくぞ・・・」
目をつむったジョーが、ゆっくりと、窓にむかって倒れていったのです。
バッ、ターンッ!
それはそれは、すごい音でした。
「キャッホー。すっごーい! ゴー、見てよ。橋ができたわよ」
「こ、これでぼくも、ま、窓にいけそうだ」
窓とくつばこのかけ橋になってくれたジョーは、しばらくビヨン、ビヨンと倒れたしょうげきで、体が波をうっていました。
それがやがてしずまると、
「ほら、いまだ! ゴー、ピン子、さっさとわたれ!」
と手をプルプルさせながらさけんだのでした。

「ラッキー。ほっ、よっ、とっ、とと」
さっそくピン子は、ジョーのせなかをすたこらと、かんたんに橋をわたっていきました。
ドキドキドキ。
「ゴー、ゆっくりでいいぞ。こわかったら、すわりながらススメ!」
「わ、わかったよ」
ぼくはこわかったので、すわりながらジョーの体を、わたることにしました。
橋になったジョーが、だいじょうぶだ、としきりに声をかけてくれています。

「こ、こわくない、こわくない・・・ひ、ひぃ」
「ビクビクするな、ほら、目をつむってススメ!」
「ひ、ひぃ」
スルスル、スルスル、スーっ。
バタンッ!
「はー、と、とうちゃくぅ・・・」
橋をわたりきると、ぼくはホッとして倒れこんでしまいました。

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泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 ふと子供の本を書こうと思いつき、会社を飛びだしました。 今は時間を見つけては、童話と児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員