消しゴムくん、旅にでる!(5/10)

文・泉あおり  

バサバサバサッ!
ぼくたち三人をのせたカラスのクロスケは、青い空へと一気にまいあがっていきました。
いつしか目のまえが、ふかふかの白い雲と、さんさんと輝く太陽の光におおわれていったのです。

するとちょうど、正面から二羽のスズメがこちらに飛んでくるのが見えました。
チュンチュン、バサバサッ。
その親子らしき二羽のスズメは、クロスケとすれちがいざまに、背中にのったぼくたち三人を見て顔がポカンとするのがわかりました。

「マ、ママっ! カ、カラスの背中に、手と足のはえたっ、木の枝がのってたチュンっ!」
「もう、この子ったらなに言ってるのかしら。チュンチュン。だからママは言ったでしょう。太陽にあたりすぎると、頭がボーっとしちゃうってね。さあ、そろそろお家に飛んでいきましょうね、チュンチュン」
そんな会話が聞こえてふりかえると、スズメさんたちは、ゆっくりと体育館の屋根に飛んでいき、軒下のなかへと消えていったのでした。

「カーカー。えんぴつやじょうぎが、まさか空を飛んで旅してるなんて、鳥の世界じゃ、びっくりされてとうぜんだカー」
「がっはは! 時代はかわったんだよ、なあ、ピン子!」
「もっちろん! さあクロスケ、もっともっと飛ばしてちょうだい! これから三人で、広い広い外の世界を冒険するんだからっ!」
そしてピン子は、帰ったらまたパンミミをあげるからと、クロスケにささやいたのです。

「じゃあ、プラン変更だカー。5分のよていだった空の旅を、2分にしてあげるだカー。しっかり、つかまってるんだカー」
しばらくまっすぐに飛んでいたクロスケが、パンミミの話をきいたとたんに、こんどはななめ下にむかって飛びはじめたのです。
バサバサバサッ、ビューっ!
ほぼ直角に落ちていくようなクロスケの飛びかたに、ぼくはもう、目がまわってクラクラとしてしまいました。

「イエィ、ヤッホー、アっハハハ!」
「さいこうのスピードだ、がっはは!」
「ひ、ひいぃぃ!」
そのあとのことは、もうハッキリとはおぼえていませんでした。
グルグルー、シュルルッ、ガーンっ、ぴょーんッ、バーンッ!
たしか、そんな感じだったと思います。

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泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 ふと子供の本を書こうと思いつき、会社を飛びだしました。 今は時間を見つけては、童話と児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員