消しゴムくん、旅にでる!(8/10)

文・泉あおり  

自分のことでケンカをしてしまったジョーとピン子を見ていると、ぼくはもう、たまらなくなってしまいました。
ピン子もジョーも、ホントは冒険なんて望んではいなかったのです。
ホントは外の世界なんて、不安でこわくてしかたがなかったのです。
ホントは二人も、もちぬしのところへ帰りたくてしかたがなかったのでした。

「ぼ、ぼくの・・・ぼくのせいだ」
それでもピン子とジョーは、このままケイタくんに消しゴムを使いきられて、ぼくがこの世から消えていなくなってしまわないために、いっしょに外の世界へと飛びだしてくれたのでした。
「ぼくは・・・どうしたいんだ?」
ホントのぼくの気持ちは・・・。いったい、どう考えているのでしょうか?
ぼくの心は、なにを思っているのでしょうか?

だからぼくは、自分の胸に手をおいて、静かにその声を聞いてみることにしたのです。
――ぼくは、ケイタくんに消しゴムを使ってもらいたい。
――でも、ぼくは、ピン子とジョーといっしょにいたい。
「ぼくの気持ちって、そうなんだ・・・」
ホントの自分の気持ちにたずねてみると、心はそうぼくにうったえていたのです。
「だったら、このままじゃ、ダメだ・・・ぼくも、そしてピン子もジョーも、このままじゃダメだよ」
そしてぼくは、もう寝たフリは、やめることにしたのです。

ガバッ!
「ゴー?」
「ピン子、ジョー、もういいんだよ! ぼくのことで、苦しまなくたっていいんだよ」
起きあがったぼくは、ピン子とジョーのもとへと歩いていきました。

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泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 ふと子供の本を書こうと思いつき、会社を飛びだしました。 今は時間を見つけては、童話と児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員