消しゴムくん、旅にでる!(9/10)

文・泉あおり  

ワイワイ、ガヤガヤ!
「んん・・・あれれ?」
気がつくと、ぼくはケイタくんのつくえのなかでした。
「あ! ロボファイターを読んでるうちに、ケイタくんのつくえのなかで、寝てしまってたんだぁ・・・」
つくえの引きだしからこっそりと顔をだすと、もちぬしのみんなはもう、学校にやってきてしまっていました。

「おい、ケイタ。いっつもかいてる、ロボファイターは完成したのかよ?」
この声は、ピン子のもちぬし、小太郎さんの声でした。
「うんうん。わたしも楽しみにしてたのよね、できたら読ませてくれるって。約束だったよねー、ケイタくん?」
つづいて、ジョーのもちぬしの、サクラさんの声が聞こえてきたのです。
ぼくはつくえのうえにでる、たいせつな機会をうしなっていたのでした。

「うーん、それがね」
すると、ケイタくんの声が聞こえました。
その声は、どこか元気がないようで、ぼくはとたんに心配になってしまいました。
「きのうも、マンガのつづきをかこうと思ったんだけどさ・・・」
――やっぱり、マンガのノートを忘れて帰っちゃってたんだぁ!
――いやもしかして、マンガのつづきが思い浮かばないのかも?
「ケイタ、まさかスランプってやつか? アハハ、なーんだ。それってよ、野球選手だけなんだと思ってたぜ」
「ふふふ、まるでケイタくんて、マンガの大先生みたいだねぇ」

見つからないようにコッソリと、ぼくは引きだしからケイタくんを見つめました。
すこし顔が赤くなったケイタくんは、小太郎さんとサクラさんにツッコまれて、頭のうしろをポリポリとかいていたのでした。
「それがさ、いつもの消しゴムがどこにもなくってさ」
――え? それって、ぼくのこと・・・だよね?
「きのう学校から帰るときに、なんどもさがしたんだけどね」
「あっ!」
すると、こんどは小太郎さんとサクラさんが、どうじに声をあげたのです。

「おれもさ、いくらえんぴつを探しても、どこにもいなくってさあ・・・。おかげで、きのうは宿題をする気になれなかったんだよ、アハハ」
「小太郎は、いつものことじゃない。でもね、あたしもじょうぎをいくら探しても、きのうは見つからなかったのよねぇ」

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泉あおり について

兵庫県神戸市在住。 ふと子供の本を書こうと思いつき、会社を飛びだしました。 今は時間を見つけては、童話と児童小説を書いています。 趣味は妻とのさんぽ。とくに山から神戸の景色を見るのが大好きです。 日本児童文芸家協会 研究会員