涙の名作 最愛の友を思い続けるということ

どんぐり書影まいごのどんぐり
松成真理子 作
童心社

子どもの頃、だれもが一度は手にし、遊んだことがあるどんぐり。たくさん集めて、宝物のようにしていた方も多いのではないだろうか。
私は親になった時、子どもといっしょにどんぐりを拾って、きれいに色を塗り、コマを作って遊んだ思い出がある。
そんなどんぐりを主人公にした絵本の名作をご紹介したい。

コウくんはどんぐりが大好きな幼稚園生。なかでも丸くて大きなどんぐりを「ケーキ」と名づけて、とっても大事にしている。
たくさんあるどんぐりの仲間のなかから、コウくんは必ず「ケーキ」を見つける。なぜなら、そのどんぐりのおしりには「ケーキ」と書いてあるから。
コウくんはいつも「ケーキ」といっしょ。坂をころがってかけっこをしたり、ビニールプールでおよいだり。
でもそんななかよしのコウくんと、どんぐりの「ケーキ」に、とつぜんの別れがやってくる。小さなコウくんにとって、あまりにも悲しい別れ・・・。

コウくんは成長し、やがて「ケーキ」の存在を忘れてしまう。でも「ケーキ」はコウくんのことを忘れることなく、最愛の友の成長を見守り続ける。
そして大きくなったコウくんに、とてもうれしいできごとが起こるのである。

小さなどんぐりと男の子の友情を、これほどまでにあたたかく、感動的に描いた作品に、私は何度目頭を熱くしたことであろうか。
本稿を執筆するため、再度読み直した際も、また涙、涙。
それぞれの世界を生きながらも、時の流れを越え、つながっていた愛を見事に描いた名作。お父さん、お母さんは、子どもたちにぜひ読んであげてほしい。

読み聞かせしながら、感動で声を詰まらそうになっても、どうかやめずに涙声で続けてほしい。きっとあなたと作者の思いが、子どもたちにも伝わるであろうから。

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