私が童話作家になろうと思った訳

こんとあき書影こんとあき
林明子 著
福音館書店

私の場合、「童話作家になろう」と思ったのは、「本書と出合ったから」と言っても過言ではない。
本書は、幼稚園の年中さんだったわが子のために読み聞かせをしようと買ったのだが、読み聞かせをすることを忘れるほど自分で何度も何度も読んでしまっていた。
当時、仕事のストレスでかなり痛めつけられていたので、心から癒されるこの作品をむさぼるように読んでしまったのだ。そして「こんなすてきなお話を自分も書いてみたい」と強く思ったのだった。
一介の会社員に童話作家になろうと思わしめた、そんな名作を紹介してみよう。

こんは、きつねのぬいぐるみ。おばあちゃんから赤ちゃんのおもりをするようにと、さきゅうまちからやってきた。ねてばかりの赤ちゃんも、やがてはいはいをするようになり、歩き出し、いつしかこんと仲良く遊ぶ少女になった。その子の名はあき。

あきが大きくなると、こんはぬいぐるみだから当然古くなる。ある日、こんのうでがほつれてしまったのを、あきが心配すると、「だいじょうぶ。さきゅうまちに帰って、おばあちゃんになおしてもらうから」とこんは言う。こうしてふたりは、遠く離れたおばあちゃんの家まで旅行をすることになるのだ。

道中ハラハラする事件がなんども起こる。どんなピンチのときも、こんは「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と言って、あきを安心させる。
こんの言葉に、私もどれだけ心が休まったことだろうか。やわらかなタッチの絵とゆったりとしたこんのキャラクターが、読者(とくに大人)を魅了する。
子育てに忙しいお母さんも、仕事に追われるお父さんもぜひ味わいながら、お子さんに読み聞かせしてあげてほしい絵本である。

本書は『Amy and Ken Visit Grandma』と題してアールアイシ出版から、英語版も出版されている(ピーター・ハウレット+リチャード・マクナマラ 翻訳)。

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