絵本作家になるための3つの実践:構成編

絵本は作・絵をひとりで担当する場合と、おはなし作家と画家とが共作する場合があります。
私は絵は描けないので絵本作家といっても、ストーリーを担当するおはなし作家です。では、おはなし作家だから絵のことはわからなくてもできるのか、というとそうではありません。絵本は言葉(文章)と絵、それから、ページめくりなどの要素があって初めて成り立つ表現形態だからです。
絵本のおはなし作家になるために、私がこれまで実践してきた3つの事柄のうち、今回は構成についてご紹介します。

◆絵本を解体してみよう!

絵本作家になるための3つの実践1 ●絵本は形あるもの
絵本は素話や物語と違って、「形」あるものとして存在します。その形あるものが何から構成されているのか、絵本を「解体」してみましょう。

まず好きな絵本を1冊準備してください。カバー、表紙、見返し、扉(中のタイトルのある標題紙)、本文、裏表紙、背表紙。これらがすべて合わさってひとつの形=世界を作り出しています。すべてが大切な構成要素です。
※本の各部の名称はこちらから→新潮社 本作りの基礎知識
なので、おはなし作家もストーリーだけでなく、すべての要素をイメージすることが重要だと思います。1冊の絵本全体を思い浮かべるのです。

また絵本の多くが何ページ(何場面)で構成されているか、実際に見ておくことも大切です。おはなしとは本来自由に展開されるものかもしれませんが、絵本は形あるものです。私の場合、基本15場面で展開を考えます。また「扉」をおはなしの最初の場面にするのか、それとも、本文の第一番目の見開きを最初の場面にするか、また最後の半ページや裏表紙をストーリーにからめるのかなども展開の中で考えます。

●絵があり多くの場合文字がある
本文には、当然絵があり、多くの場合は文字があります。文字も縦書きと横書きがあります。縦書きと横書きで絵本のひらきの違いがでてきます。
縦書きの絵本、たとえば『ねずみくんのチョッキ』(なかえよしを・作、上野紀子・絵、ポプラ社)は右にめくっていきます。
横書きの絵本、たとえば『はじめてのおつかい』(筒井頼子・作、林明子・絵、福音館書店)の場合は左へめくっていきます。
これは絵のすすむ方向にも関係します。『はじめてのおつかい』のみいちゃんの進行方向に着目してください。左から右に向かっているのがわかります。

また1見開き(1場面)には、できるだけひとつの動作をおさめるようにしています。文章で多くのことを盛り込んで絵ではその中のひとつを描くと、聞いている子どもたちが混乱してしまいイメージを作りにくいからです。
これは文字原稿だけではチェックできません。なので、私はできるだけ1冊をイメージした鉛筆書きのラフも自分で書き、場面に多くの動きを盛り込みすぎていないか確認します。

●絵本の醍醐味はめくること
上記のことは絵本の肝である「ページめくり」にも関係してきます。
絵本を書きはじめた当初は、「童話」を15分割して絵をつけたら絵本、であると勘違いをしていました。めくるという行為がいかに読み手の想像力をかきたてるのか理解していなかったのです。

拙作『だいすきのしるし』(岡田千晶・絵、岩崎書店)では、主人公れなの幼稚園のおゆうぎ会のシーンでめくりの効果を考えました。
お母さんがおゆうぎ会に来られず、れなは不安な気持ちでステージに立ちます。先生が「カーテンをあけてください」というセリフのあとに、ページをめくります。すると、そこにはお母さんがおゆうぎ室に入ってくる姿が描かれています。めくる、ということがステージのカーテン(暗幕)が開くことを示しています。めくって展開することには、扉を開ける、場面転換、時間の経過、などさまざまな意味を含ませることができるのです。

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新井悦子 について

長崎県在住。保育絵本キンダーブック2(フレーベル館)の生活コーナーのお話を4年間執筆。絵本に『きょうはとくべつなひ』 (教育画劇)、『いたいのいたいのとんでゆけ』 (鈴木出版)、『だいすきのしるし』 (岩崎書店)、訳本に『中国のおはなしシリーズ』(Benesse)、紙芝居に『ちんちろりんおばけ』『なすおばけ』など(教育画劇)。創作の他に英語教材のストーリー制作、ワークブックの企画など。地元では子どもの本に関するボランティアグループおはなしマルシェに所属し、「させぼふるさと紙芝居」として地元の昔話『じんねみどん』『三川内の化け猫騒動』など現在5巻を制作。日本児童文芸家協会会員。