銀のかけら流れる川のほとり(1/5)

文・北森みお  

少女が住む川のほとりには、銀色に光る小さな星のかけらが流れていました。

朝にも昼にも夜にも、かけらは無数に川を流れていきます。
この川を流れるかけらは、天の星が星の形をつくるとき、はみ出してしまったり、いらなくなってしまったりしたものなのです。

写本 -1銀のかけら流れる川のほとり星のかけらたちは、朝には、のぼる太陽の光を受けて透明に光り、夕方には、沈む陽の光をのみこんであかね色に染まり、夜には、地上を照らす月や星の光を反射して、銀色の破片になっていくのです。

太陽がのぼると、少女は、川のほとりにある家の中で目を覚まし、白いエプロン付きのワンピースに着替え、川に出かけます。

川の水で顔を洗い、長い髪を水でぬらしてとかしたあと、少女は両手を合わせ、手のひらを丸めてスープのお皿のようにします。
そしてひとすくい、川の水をすくいます。
数匹の魚たちが、少女にすくわれて、その手のひらの、丸い水たまりの中に入ります。
少女の小指のつめよりも透き通って小さな魚たち。
少女はそれを、ひといきに飲みほします。
それから裸足になって川に入ります。
星のかけらを拾うためです。

腰をかがめ、持ってきたバケツの中に、拾った星のかけらを、ひとつひとつていねいに入れていきます。
かけらを拾う途中、少女は、ときどき顔を上げ、向こう岸をながめることがあります。

向こうの岸には、やはり川に入って、星のかけらをひろっている少年がいました。
目が合ったときは、少しだけ手をふります。
少年も手をふってくれます。
そして、またすぐに星のかけらを拾うことにもどります。

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北森みお について

小説、童話、脚本など執筆。日本児童文芸家協会研究会員。 主な作品に『星夜行』(パロル舎/広島本大賞ノミネート)、『時の十字架』(鉱脈社/Qストーリー大賞優秀賞)、『ひろしまの妖怪』(中国新聞『おはなしばこ』掲載)、『北極星の夜』(『日本児童文学』掲載)、『深海魚のユメ』(国木田独歩記念事業文学祭入賞)、『T字橋の欄干」(広島市民文芸一席入賞)、『つばさ屋』(ラジオドラマ脚本)『星夜行-約束のリボン-』(ラジオドラマ脚本)など。 電子書籍に『美しいかけらの物語-ワニと薬指-』(ティアオ)、 『ホテルねこ堂』(星の砂文庫/童話と絵本コンテスト審査員特別賞) などがある。 近年作詞も手がけ、提供した楽曲に「風のソネット」「ロマンチカ」(作曲、歌はメロディストの田中ルミ子さん)などがある。