ぜんぜん不思議じゃなかった3日間(2/15)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

お仏間で、スイカを食べている時に、じいさんは話してくれた。
「第2次世界大戦のとき・・・」
お兄さんは志願し、飛行兵になった。
そして、お兄さんの乗った戦闘機は、南の戦地に飛び、もどってこなかった。

「・・・・・・」
「しんみりすな」
「はあ」
「おまえ、キツツキにそんな暇はない」
「って???」
「キツツキは、ここに、魂送りを見に来たと言うてたやないか」
ああ、ここで、いきなり本題に入るのか。
この策作じいさんといると、展開が読めないから、困る。

「はい。でも、さっき、見物は無理だとおっしゃいました」
「ほうや。おまえがひとりでひょっこり行っても、見ることはでけん」
「はあ」
「しかーし!」
策作じいさんの、片眉が、ぴくんと跳ね上がる。

「わいが、一緒なら、でける! そもそも、結界をくぐりぬけて来た奴やから、周りのもんも、誤魔化し、いや、説得しやすいやろし」
「け、けっかいって、おっしゃいましたか? むすぶさかい、って書くあの結界ですか?」
いやいやいやいや。
んなわけない・・・、って言ってくれ、お願いだから。
展開が読めないにも、ほどがあるだろ?

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。