ぜんぜん不思議じゃなかった3日間(7/15)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

塩アメ、なめて、また、進む。
そこで、あれっ、と気がついた。
策作じいさんって、家を出る時、手ぶらだったよな?
ユーレイの自転車屋のじいさんでさえ、くらっとくる炎天下。
生身の策作じいさん、水分補給も塩分補給もしてなくて大丈夫か?
早く追いつき、このヒスイを見せよう、いやいや、塩アメをなめさせる方が先だな。

どこにいるんだ?
遠く目を凝らしても続く海岸線に姿はない。
海辺には、群れを成した白い鳥たちが、低く飛んでいるばかりだ。
ウミネコ、か?
こんなに近くで見るのは、初めてだ。
もっと、近くで見てみたい!

じいさん捜しは一瞬忘れ、所々に重ね置かれた、波けしブロックに向かい、よじ登る。
と、見つけた!
策作じいさんだ!
海とブロックの間にいる。
ヒスイ探しをしているとばかり思ってたけど、じいさんたら、呆れた! 楽しそうに猫と遊んでる。
寄せては返す波を相手に、逃げてみたり、追いかけてみたり。
「佐熊山・・・」
策作さんと、呼びかけようとして、やめる。もう少し、見ていよう。
きれいな猫だ。
走る時、すらりとした身体から、地面と水平に、すうっと伸びる尾。
しなやかな身のこなし。
優雅な白猫だ。

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。