ぜんぜん不思議じゃなかった3日間(9/15)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

  9 川へ

目覚めると、賢作さんの姿は、なかった。
もしかしたら、見えないだけかもしれない。けれど。
もしかしたら、見せないだけかもしれない。
昨日は、流れというか、成り行きでソーメンをごちそうしてくれたりもしたけれど、こんな呆れた奴の前には、もう二度と姿を現さないかも、しれない。

ぐーっ、ぐるる
こんな悲しい気分のときも、鳴くんだ、あたしの腹の虫。
策作じいさんは、先にすませたらしいので、あたしは、また、冷蔵庫の中の物を適当にいただくことにする。

「あっ、ふえてる」
昨夜はなかったタマゴロールや牛乳が補充されている。
策作じいさんたら、意外と面倒見はよさそうだ。
「ごちそうさま。とてもおいしくいただきました」
すでに表で待機中の、じいさんに声かける。

「キツツキ、今日は、川へ行ってみよか」
「川、ですか?」
「昨日の海は不作やったし」
「あっ、いえ、それより・・・」
自転車屋のじいさんに、もらったヒスイを見せる。
「お宝級! でいいですよね?」
「ああ、ええ石や。白に翠の入り方がなんともいえん」
口ではほめているものの、いまいち、おもしろくなさそうだ。
眉の端がピクピク動き、鼻にしわがよっている。

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。