ぜんぜん不思議じゃなかった3日間(9/15)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

結局、お宝は、埋め戻した。
たとえ自分で見つけても、ここまで大きな石になると、持っては帰れない。
でも、策作じいさんもあたしも、大満足だ。
あたしとしては、自分で見つけられなかったこと、それは、ちょっぴり残念だけど、あんなきれいな石に、お目にかかれただけで心が満ちる。

♪ 橋を渡って 草むらの
♪ 奥の細道 下って行けば
♪ 風にゆらゆら 柳の木
♪ 三つ目岩の 先の先
♪ 三角石の その下に
♪ 大きなカワセミ 棲んでいる

いつか、また、見たくなった時、埋めた場所を覚えておくためにと、策作じいさんが即興で作った歌だ。
ダサくてヘンに古臭いメロディーに、センスのない歌詞。
かなり、いや、もの凄くダサい歌だけど、妙に耳に残る。
いやいや、もの凄くダサい歌だからこそ、耳に残るのか?
あたしも、すぐに、歌えるようになってしまったのだから。
歌いながら帰る道は、行よりも近かった。

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。