ぼくたち エージェント!2~チョコレートをダッカイせよ(3/4)

文・ひなたのんき  

あっ!
何かに、つまずいた。体がうき上がったみたいになって、ぼくは、地面にたおれこんだ。
あごが熱い。それに、手のひらとか、ひざとかも、熱くて痛くなってきた。

「へっ! ばーか、ころんでやんの!」
テツヤが、ゼーゼー言いながら、ぼくの前にまわりこんだ。
ぼくを、広場の方へ行かせないつもりだ。
ぼくは、泣きそうだったけど、ガマンして立ち上がった。
両方の手のひらと、ひざをすりむいて、血が出ている。

エージェント2 3-1「うわっ!おまえ、かお、ちだらけじゃねぇか!」
テツヤがぼくの顔を指さしてわめいた。
顔が血だらけ? 自分じゃ見えないけど、あごが熱くて痛いから、あごもすりむいたのかもしれない。
「お、おれ、しらねーぞ! おまえがかってに、ころんだんだからな!」
そう言うと、テツヤは、わぁっと走って行った。
・・・にげた・・・。
ぼくよりずっと大きい、3年生のテツヤが、ぼくのケガにおどろいてにげ出した。
ぼくたちは、勝ったのだ。

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。